-黒磯駅の駅前通りを歩いてすぐに香ばしい香り。地元で人気のカフェに入ると、ふんわりとした笑顔の女性が待っていました。渡邉智美さん-この地でヨガスタジオ「EARTH YOGA」を主催し、自身もヨガインストラクターとして活躍しています。二児の母でありながら毎月東京の師匠の元でヨガを学び続けるパワフルな面を持った彼女は、気さくで笑顔を絶やさない人。そんな彼女のライフスタイルを伺いました。
-ヨガに出会ったきっかけはなんですか
地元に帰って仕事先と家の往復の日々が続き、変化を求めて出会ったのがヨガでした。私自身、人のために何かしてあげたいという気持ちが強く、気遣うことに知らないうちに心が疲れていたのでしょうか。ヨガで体を使うことで、不思議と自分と向き合い自分に集中することができたのです。その感覚は初めての体験でとても新鮮でした。そして、ヨガを深めるうちに陰ヨガと出会ったんです。そのころは陰ヨガというレッスンは周辺にほとんどなくてどんなものか興味を持ちました。動きが少なく一ポーズに何分もキープが入る陰ヨガは、瞑想にも似たアーサナが続きます。しかし、そのゆっくりとした動きと深い呼吸によって、自分の今の状態がどうなのか深い気づきがあり、体の内側から気がみなぎる感じがしたのです。衝撃を受け、より極めたい、深めたいと思いました。そんな感動を人に伝えているうちに教えてほしいという方もでてきて、ヨガのインストラクターに。ヨガスタジオを2017年にオープンしました。
-現在はどんなヨガを教えていらっしゃいますか
陰ヨガはもちろん、ヴィンヤサフローヨガやアナトミック骨盤ヨガ®︎などのレギュラークラスがあります。マタニティーヨガや親子ヨガ、産後ヨガも行っていて、特に産後に親子で参加するヨガがとても人気です。
小さな子供がいるとお母さんは子供のことや家のことで身体も心もいっぱいいっぱい。なにか相談したくても同じ立ち位置で話をする場所がない。ここ黒磯では車で移動することが多いので、なかなかママ友に出会えない。とても不安なんです。でも、産後ヨガにくるとわずかな時間、自分を見つめる時間がもてる。赤ちゃんがぐずってヨガができなくても自分だけじゃない、一人じゃないんだと思える。心の癒しになるんです。子供を置いて一人の時間を持とうとするとそれだけで罪悪感を感じるお母さんは多いんですが、子供と一緒にヨガのレッスンを受けられる、そういった場があると、お母さんも安心してこれるんです。お母さんが心穏やかになると不思議と子供も落ち着いてきて、ヨガの終盤になると赤ちゃんがみんなすやすや、ということもあります。
お母さんも自分を見つめ直す時間がもてると心がリセットされて前向きになれるんです。またがんばれる気がしてくるし、人にも優しくできる。なにより、自分が救われます。自分もそうでした。だからこのレッスンではお子さんといっしょに来ていただいて、出入りも自由、お子さんが泣いてもお互い様、授乳やおむつ替えも自由です。気兼ねなくその場の空気を共有して自分に立ち返る時間をもっていただけたらいいなと思っています。
-ほかにもスペシャルクラスとしておもしろい取り組みをされていますね
収穫後の田んぼに畳を敷いて行うハーベストヨガや5月頃の晴れた日に公園で自然の風を感じながら行うパークヨガを行っています。他にも地元のキャンドル作家さんとコラボしたキャンドルヨガ、同じくヨガ後にヴィーガン料理がいただけるおいしいヨガなどの特別なレッスンも行いました。すべて地元の方の協力で実現できる取り組みで皆さんとのご縁がここまで引っ張ってきてくれたと感じます。
自然の中で行うヨガは、スタジオで行うヨガとは異なり自分の周りの環境が一定ではありません。雨が降ればお休みと不便もあります。温度や湿度も必ずしも快適とはいえないかもしれません。でも、美しい自然の風景に身を置きながら、風やそよそよとゆらぐ草木の音や、土の匂いを感じてゆっくりと体を動かすことで得られる幸福感があります。自然をありのまま受け入れ、自由にのびのびと心身を開放することで、無理をしない、ありのままの自分を愛することができるのです。これは特別な体験で、機会があればまたやっていきたいと思います。
-最近ヨガとは別に写真に関する活動をはじめたのはなぜですか
私、写真を撮られることがずっといやだったんです。背が高くコンプレックスがあって自分に自信がなかった。そんな時、お友達が私の写真を撮らせてほしいっていってきてくれたんです。フォトグラファーの友達に写真を撮ってもらっているうちに、自分の中でなにかが変わっていきました。自分では気づいてなかった自分に気づき始めたんです。私、こんなふうに笑ってるんだ、こんな表情もするんだ、というふうに、自分を外側から見直すきっかけをもらいました。すると自分のよいところもわかってきて、すごく豊かな気持ちになったんです。
ヨガとフォト、一見まったく違うものに見えるけど私にとっては根っこがいっしょなんです。それは「自分をみつめる」ということ。今の自分に気づく、そして認めると自分の中によい「気」が流れます。自分が好きになる。その幸せを感じてほしい。癒しとしてのヨガであり、癒しとしてのフォトなんです。それは写真ではなく「写心」。心を映しているのです。
それから俄然、写真を学び始めました。自分に出会える写真をお届けしたいという気持ちからです。そして2018年の秋からフォトグラファーとしてデビュー、定期的に撮影会を開いています。また、写真を撮影する楽しみを分かち合いたいと思い、フォトレッスンも始めました。外を散歩しながら撮影を楽しむツアーやママのためのカメラレッスン、カメラの選び方講座、インスタお茶会など、楽しい企画を皆さんと一緒に作り上げているところです。
今後は、ヨガインストラクターと同時にフォトグラファーとしてもやっていきたいと思っています。内と外から自分に話しかけるツールとしての「ヨガ」と「フォト」。この2つを通して自分に出会い、自分を慈しんでほしい。そんなお手伝いをしていきたいと思います。
-明るい日ざしの中で明るい表情の彼女は終始笑顔。打合せのカフェでも来る人来る人に声を掛けられ声をかけ、幸せをふりまいているような人でした。出会う人を明るくする「陽」のパワーをもっている彼女だからこそ、「陰」の気で自分を見つめ直しバランスをとっているのかもしれません。ありのままの自分を少しずつバージョンアップして、それを人にも分け与えられる人、だからこそ周りの人も彼女を応援せずにはいられないのだと思いました。
今回訪れた場所は、カフェカルチャーのある街、黒磯。CAFE SHOZOに始まり、最近では次々にオーナーのセンスが光るお店がオープンしています。那須連山の美しい姿をみながらのんびりと街中を散策し、ひとつひとつのお店を訪ね歩く・・そんな楽しみがある街。都会的なセンスとありのままの自然が共存していて、人々は気さくで温かい。
そんなほっと一息つける場所で、渡邉さんはヨガを通し、人から人へと輪が広がって新しいコミュニティーを広げていっています。人の助けになりたいという気持ちは、今後もヨガやフォトへの取り組みに反映されていくでしょう。
EARTH YOGA
325-0052 栃木県那須塩原市中央2-22 3F
https://www.earthyoga-studio.com
フォトグラファーとしての活動はこちら↓
https://tomomi-yinyoga.goat.me/
今回、黒磯駅前のIris BREAD & COFFEEにお邪魔しました。お隣の人気パン屋さん KANEL BREADの焼き立てパンが味わえます。通りにある小さなテラス席にはすでに地元の人がゆっくりとブランチを楽しんでいました。シーズンおすすめの「ふき味噌トースト」。ふきのフレッシュさと味噌のしょっぱさが自然な小麦の甘みをひきたてて美味。クリーミーなカフェオレとともにいただきました。小さな女の子がお隣のKANEL BREADから大事そうにパンを3つ持ってきて席に着く。お隣でお母さんがコーヒーで一息。地元の人に愛されるお店ということが肌で伝わってきました。
Iris BREAD & COFFEE(イリス ブレッド&コーヒー)
栃木県那須塩原市本町5-2